秋、澤さんたちと大畑川の中流から上流へと散策した。澤さんは「この木は、みずなら」「これは、水木」「これは、ぶな」と、草木の名前を教えてくれた。それまでの「ただの林」が名前がついて人格を持ったようだった。
河原では、浅瀬の石を持ち上げ、裏についている虫を「何の幼虫だ」とか、教えてくれた。
我々は幸運にも、人工的なものを乗り越えて上流に近いところで神々しい鮭の産卵を見ることができた。
なんと自然はすばらしいと、年甲斐もなく感激した。
澤さんには不満もある。土木工事は最近自然に気を使うようになったが削がれた山肌に外国の物などの植物を植えるのは、生態系を壊すことになる。と、いう。湖のブラックバスと同じだ。
建設省土木研究所 環境部河川環境研究室 室長 島谷幸宏氏が「正しいかどうか判らないが、昭和30年代に川の環境を戻せれば」と、いうことを云っていたが澤さんの世界の中にそれが正解であることが証明されている。江戸時代とか、戦前とか我々がよく判らない時代より取り敢えず子供の頃へ戻す、すなわち昭和三十年代である。
さあ、澤さんの世界を覗いてみよう。