MINORUのメッセージ

 「スライディングパズルデザイナー」と言う聞き慣れない肩書き。

 移動式パズルの新種を考案製作するのが仕事?だ。「日本の悪魔」「下北のモグラ」突然変異の珍獣のように新聞や雑誌テレビで話題になったりする事もある.

 奥行き170センチ、間口20メートルの半分が工房、残りが住居と言うコンパクトな空間から考案発表された作品は既に50種を超える0民芸品販売のイベントで年2回上野駅に出店するが稀にパズルの新作が並ぶ事が有る。その時入手出来た人は幸運と言える.

 作品の大半は少量しか製作されず二度と販売される事が無い物が含まれる場合が多いからだ。最近「みのるパズル」に関するホームペ小ジが幾つかマニアによって開設されているので入手しそこねた作品はそこで見るしか方法が無い。  、

 「みのるパズル」の出現によって厳しい冬と短い夏に彩られた本州最北端、青森県下北半島はパズル史上最先端にして最大数の移動パズル発祥の地になってしまった。

 英国のパズル研究家エドワード・ホーダン氏は自著「Sliding PiecePuzzles」の中で僕のパズルを遊び尽くすまでに千杯のコーヒーをお代わりする事になるとジョークを交えて紹介しているが、考案者はその10倍のコーヒーを飲む事になるのだ。

 パズルを考えると言う作業は一見頭脳労働に思われがちだが実際は耐久力と根気の肉弾戦と言う方が正しく、何カ月も費やして何も出来ない事の方が圧倒的だ。微かな閃きを頼りに試行錯誤を繰り返すだけの作業は膨大な時間の浪費にしか過ぎないが、僕にとっては極上の幸福の時なのかも知れないと思う。

 多分一生の間に200のを超えるパズルを考え、運が良ければその半分を「カタチ」にしその半分を執念深いマニアが手にする。

 パズル玩具を「人生もどき」と例えた作家がいる。確かに人間にとって自分の存在自体が永遠に解き得ないパズルそのものだ。

 膨大な謎の迷宮の中で人間は想像し得る限りの「もどき」を作り出してきた。パズルを創造すると言う行為は僕にとって「自分を解き明かす」無謀で滑稽な愉しみでもある。